第51回日本血液浄化技術学会学術大会
【はじめに】CRRTでは、サイトカインの吸着除去目的で主にPMMA膜が用いられる。しかし、PMMA膜は、膜寿命が短く充分な補液流量を確保できない欠点がある。そこで我々は、透水性と分画特性の優れたPUT-eco(PES膜)を使用している。また、血液浄化装置によって連続治療時間に相異がありそうなので検証した。
【方法】
血液浄化装置にACH-Σ(旭化成メディカル)とTR-2020(東レメディカル)を使用。ヘモダイアフィルターはPUT-21eco(ニプロ)とし、血液流量(Qb)100ml/min、透析液流量(Qd)500~700ml/h、補液流量(Qs)500~1000ml/hの条件で、CHDFまたはCHFの前後希釈を施行した。抗凝固剤はナファモスタットメシル酸塩を20~50mg/hで調整した。N=60症例にて連続治療時間は72hを目標とし、治療継続困難となるまでの時間を計測した。
【結果】
目標達成はTR-2020の5回である。治療の終了や一時中止を含めてACH-Σ(N=6)の連続治療時間の平均値は39.5±19.6h(MAX49.8h)。補充液総量の平均値は35.5±14.2L(MAX49.4L)であった。TR-2020(N=55)の連続治療時間の平均値は39.7±24.4h(MAX72.3h)。補充液総量の平均値は44.4±25.6L(MAX143.4L)であった。治療の継続中止は、PUTの膜寿命や中空糸内の凝固よりもアーチループ(エアフリー圧力チャンバ)の血栓に起因するものが殆どであった。TR-2020の血液回路は、ACH-Σよりもアーチループの抗血栓性に優れていた。
【考察】
現在、連続目標治療時間はACH-Σでは48h、TR-2020では72hとしている。また、治療中にアシードーシス進行やカリウム上昇がある症例では、透析量を上げるためQsの増量が必要となる。TR-2020は前後希釈に対応しているため、前後希釈CHFにて前Qsを1000ml/h、後Qsを1000ml/hへ上昇させている。TMPの上昇も無く、継続した透析量の増大が可能であり、サイトカインのIL6(21~28KDa)やHMGB1(30KDa)は濾過されるため大量置換は有用であると考えられる。
【まとめ】
PUT-21ecoを用いたCHDFでは、連続治療時間の長時間化と補液量の増量が可能となった。また、良好なlife-timeを得るには、装置(血液回路)の選定も重要であり、現状TR-2020が優れていた。スライド