第24回 日本HDF研究会 2018年

【はじめに】当院では個人用RO装置のアルカリ洗浄と過酢酸消毒を月1回実施していた。しかし、真鍮製のプロコンポンプヘッド、フローセンサーの劣化による交換が頻発した。また、運転圧が低下、導電率とTOCの上昇を経験した。そこで、ICコントロールヒーターを用いた65℃熱水でRO装置の消毒効果を検証した。

【方法】東レ社の個人用RO装置TW-72Pで薬液洗浄モードにて温水による循環消毒を1時間実施した。ICコントロールヒーターはクマガイ電工社製のSCH-900SCを用いて循環タンクに投入して設定温度65℃、測定温度62度(非耐熱型ROモジュールの限界温度)を維持した。耐圧ホースはシリコン製に変更した。消毒頻度は週に1回とした。エンドトキシンと細菌数測定は、熱湯消毒実施前にサンプリングした。TOCと導電率は熱水消毒後の翌日にサンプリングした。

【結果】新品のROモジュールに交換後のET値は0.0033EU/mL、細菌数は1.3CFU/mLであった。その後、熱水消毒を定期的に実施してET値は0.0012EU/mL以下、細菌数は0.05CFU/mL以下に維持できた。導電率は2.07±0.2μS/cm、TOCは46.5±8.26ppbであった。

【考察】熱湯消毒後に1日3時間以上の停滞があると1週間後に3CFU/mL程度の細菌が観察された。また、ICUでの使用時にRO装置の移動でRO水給液ラインの脱着時はアルコール消毒を実施しているが、0.1~0.15CFU/mL程度の細菌が観察された。装置移動後はRO水送液ラインの次亜塩素酸消毒は必要と考えられた。また熱水消毒において水棲菌ではAo値:600の処置は必要なさそうである。

【まとめ】65℃熱水消毒と3時間未満の停滞でRO装置の汚染は基準値未満であった。ICUなどでon-line HDFの実施も可能と思われた。また、部品劣化は観られなかった。 スライド