Yanの透析診療所


透析液清浄化とOn line HDFがテーマです。急性血液浄化もカテゴリーに追加しました。

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セプザイリス

 旧ホスパル社製のPAN膜(AN69膜)は陰性荷電が強く炎症サイトカインの吸着できる。しかし、その陰性荷電がブラジキニンの産生を刺激する。一方、ACE阻害剤はブラジキニンを不活性化させるキニナーゼIIを阻害する。PAN膜を使用していた患者にACE阻害剤を投与したところ、血圧低下、ショックが発生したとの報告がある。従ってPAN膜(AN69膜)を使用している患者ではACE阻害剤は禁忌であるとされている。バクスター社が販売のセプザイリス(AN69ST膜)では、AN69膜にpolyethyleneimine(PEI)を表面加工し、膜表面と血液との接触によるブラジキニンの産生を減少し生態適合性を向上させている。さらにヘパリン加生食でヘパリンコーティングできるので凝固剤不要?凝固剤減量?とされるが、凝固と残血の報告を多々見受けられる。これは抗凝固薬(未分画ヘパリン5,000IU/L)を添加した生理食塩液でのプライミングも実施されてないのが原因とも思われる。当院ではセプザイリスは不採用とした。

ポリビニルピロリドン(PVP)アレルギー

 ポリスルホン(PS)膜、ポリエーテルスルホン(PES)膜は、ポアの構成と疎水性膜を補う親水化剤であるPVPが必要不可欠である。しかし、PVPが原因と思われるアレルギー様症状の出現が報告されている。これは浸水化剤であるPVPが溶出によりアレルギーが発症する。アナフィラキシーショックを起こすことがある。東レ社のPS膜はPVPが固定化されており、比較的アレルギーの発症が少ないと感じている。
  日機装社に(ポリエーテル系ポリマーアロイ)PEPA膜があるが、この膜(FLX)は疎水性が強く残血し易いが、IL6などを吸着できる。しかし、残血の欠点を補うためにPVPの親水化層を作ったのがFDX、FDY、GDFである。現在、透水性が高く生体適合性の高い膜は、ニプロ社(中空糸の製造は東洋紡)の非対称構造のトリアセテート(ATA)膜が優れている。

間質性肺炎とPMX

 特発性間質性肺炎(IIP)の急性増悪は有効な治療法が確立されておらず、予後不良である。しかし、近年エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の有効性を支持する報告がされている。酸素化の改善、LDH・KL-6の改善、CT所見の改善、抜管成功や短期予後の改善などが報告されている。当院でも2017年頃より呼吸器内科からPMXの依頼が出るようになった。但し、保険適応ではない。

参考資料
間質性肺炎の急性増悪に対するPMX-DHP の効果と施行前後での各種臨床指標の推移
特発性間質性肺炎の急性増悪に対するエンドトキシン吸着療法と血液濾過透析の併用治療の効果の検討

プロフィール

Yan

 臨床工学技士・透析技術認定士。透析液清浄化に取り組み1992年よりOn -line HDFを実施しております。急性血液浄化でも大量前希釈On -line HDFを導入させ、現在では個人用RO装置の開発にも取り組んでいます。

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